2016年11月23日水曜日

プロペラ戦国時代 -New Era and New Props-



 マルチコプターが登場し,ラジコン業界は一昔前と比べるとだいぶ人口と活気が増してきました.

今回はプロペラの話です.

 いわゆるドローンレースが海外を中心として広まったことでもともとある技術の組み合わせだった

マルチコプターも,モーター,ESCといった部品が規格化されてその性能が比較できるようになると

様々なメーカーが参入して競争が激しくなってきました.ESCのプロトコルの発展が最も著しい

とこではありますが,それはまた今度.最近になって増えてきたユニークなプロペラについてです.

 プロペラは自動車のタイヤのようなもので特にレースでは消耗品,そして,FPVで飛ばした際の

違いが最も顕著なパーツでもあります.飛行機のRCではプロペラを作る会社は数えるほどでした.

マルチではもともとモーター,ESCを作っていた会社も独自のペラを投入するようになり,飛行機の

ときよりも個性的な形状のものが増えてきました.

 プロペラの規格はその直径とピッチ,枚数といった部分でその負荷やスピードなどを参考にして

いました.会社が少なければ形状も似たようなものでそれも問題なかったのです...

 上の写真の通り,今やマルチのペラはレースで最も多く使われている5インチの同じ径といえど

一様には比べることが出来ません.そんなペラたちを少し紹介したいと思います.


  •  ブルノーズ (左下 DYS5045x3)
昔の飛行機に高速性のために翼端を切り落としたものがありましたがあんな感じです.5インチ

ではありますが,翼端が残っていれば6インチのペラになります.一回り小さいサイズで一回り

大きいパワーを得るためのペラで,その負荷も一回り上のペラに匹敵します.

比較的初期から主流のペラで今のペラは基本的に皆ブルノーズの考え方や翼面積を基準にして

作られているように見えます.
  • 先割れ(右下 HQProp DPS5x4x3)
もともとマルチのペラの大手HQ Propのペラ.ただのブルノーズではなく翼端がよく見ると2つに

分かれています.触ってみると素材もまたユニークで普通のプラスチックよりも柔らかめな弾性

素材で出来ています.翼端の処理はよくわかりませんが,弾性のせいかスロットルの反応が穏や

かで独特の味があります.
  • 有機的(右上 DAL Cyclone T5045)
DALもIndestructibleこと割れないペラで有名なメーカーです.このペラは翼端が極端に細く,そして

薄く出来ていて翼端渦を抑えるような努力が見えます.実際に回してみても音は小さく聞こえます.

素材はDAL伝統の折れど,曲がれど,割れない頑丈な作りで翼端は薄いものの翼根は相変わら

ずの強度です.楕円分布と翼端のおかげなのか3枚羽のペラとしては効率が良い方で私の

お気に入りでもあります.

  • ウィングレット(左上 Racekraft 5051)
Racekraftはハワイで行われたレースのチャンピオンが使ったことで一躍有名になったメーカー.

誰の目で見てもユニーク,攻撃的なくらいのピッチと翼端のこだわりウィングレットが特徴です.

その性能は圧倒的な負荷とこのサイズのペラで最大級の推力.機体にカメラなどのおもりを

載せてちょうどよく感じてしまうほどにパワフルなフィールです.これから現れるペラにも影響は

小さくないはずです.


 元々が制御や電気を中心として発展してきたマルチですが,ここにきて空力的な分野でも様々な

アプローチで可能性が見えてきました.マルチコプターをやるといろいろな分野の勉強になります.

理系の学生さんはチャレンジしてみてはいかが.

0 件のコメント:

コメントを投稿

第19回飛行ロボコン 出場のお知らせ

  こんにちは、学生航空機プロジェクト(SAP)です。 厳しい残暑が続いておりますが皆様いかがお過ごしでしょうか。 本プロジェクトは9月23日・24日に行われる飛行ロボットコンテストに向けての準備の大詰めを迎えています。 冒頭の画像は制作中の機体「Peregrine Mk.III...